公園の小径や校庭のすみ、人や自転車がいちばん通るところに、オオバコ(車前草)はわざわざ陣取っている。ふつうの草なら踏まれて負けてしまう場所だ。なぜそんな「激戦区」をわざわざ選ぶのだろう。
踏まれるほど有利
オオバコの葉はやわらかく、地面にぺたりと張りつくロゼット型。茎を立てないので踏まれても折れない。葉の中には丈夫なすじ(維管束)が通っていて、引っぱりに強い。背を高くして光を奪い合うのをやめ、「踏まれても平気な体」で勝負しているのだ。だから、ほかの草が育ちにくい踏みつけ地こそ、競争相手のいない一等地になる。
種は、足で旅をする
さらにしたたかなのが種の作戦。オオバコの種は濡れると表面がゼリー状に膨らんで、ねばねばする。雨の日、踏まれた種は靴底や車のタイヤにくっつき、そのまま遠くへ運ばれていく。学名 Plantago は「足の裏」に由来するという説もあり、人の通り道に沿って分布を広げてきた。踏まれることは、移動の手段でもある。
遊びと、暮らしのなかで
花茎を二人で絡めて引っぱり合う「オオバコ相撲」は、昔ながらの草遊び。葉や種は薬草としても使われ、種子は生薬「車前子(しゃぜんし)」として知られる。踏まれ強さの裏に、ずいぶん豊かな顔を持っている草だ。
次に道の真ん中で見かけたら、少しだけ よけて歩いてみる。